エドワード編 Stage4 サンセットシー・サーキット

1. タイムアタック

  • 前編: エドワードはエスミーと再会するが、イバにコースの練習をさせられる。

  • 後編: エドワードはエイダとコースの攻略に難儀する。

この全く新しいドリフトも学んでるし

原文

Esmee: I kept hearing stories about all of you at other tracks and I wanted to join in too.

Esmee: I can't let you get all the experience on your own!

Edward: I feel like I've improved a lot since we last raced, so you better be ready if you want to challenge me.

Edward: Also, I've learned about this whole new kind of drift event, we should--

現行訳

エスミー: 他のコースであんたのいろんな話をずっと聞いてたから、ウチも参加したいと思ったの。

エスミー: 色んな経験はウチの手で手に入れないと!

エドワード: 前のレース以来、ものすごくレベルアップできたって思ってるから、オレに挑戦したいなら、準備万端な方がいいよ。

エドワード: それに、この全く新しいドリフトも学んでるし、だから―

試訳

エスミー: 他のコースであんたたちの話をずっと聞いてたら、ウチも一緒に走りたくなったの。

エスミー: こんな面白そうな体験、独り占めなんかさせないし!

エドワード: しかし、オレは前にレースした時からすっごく伸びたからねえ。挑んでくるなら、ちゃんと準備しといたほうがいいぜ。

エドワード: それから、全く新しいタイプのドリフトイベントも知ったし、だから――

2. スタイル

  • 前編: エドワードは業を煮やし、エスミーとスタイルドリフトで遊ぶ。

  • 後編: エドワードはイバと決裂する。

イバならやりあってくれる

原文

Edward: I don't want to learn anything. This was supposed to be fun...

Edward: You know what? I've had enough... I'm going to do what I want, and Ibba can just deal with it.

現行訳

エドワード: 何も学びたくねえ。楽しいはずだったのに...

エドワード: あー、もう限界だ...俺は俺のやりたいことをする。そして、イバならやりあってくれる。

試訳

エドワード: 何も学びたくねえ。楽しくなるはずだったのに…

エドワード: ああ、もうたくさんだ…オレはやりたいようにやるぞ。イバには受け入れさせる。

この場合の「deal with it」は、「対応」の意味もあるので間違いでもないし、どのみち後で喧嘩するんですが、エドワードのうんざりした調子から導出するに、「受忍」とか「受け入れ」のほうのスラングのようにも見えます。

まだ準備できているかはわからんけど

原文

Esmee: Oh, Edward! Are you looking to race already?

Esmee: I'm not sure I'm ready yet, this track is tougher than I'd imagined.

現行訳

エスミー: え、エドワード!もうレースしたいってこと?

エスミー: まだ準備できているかはわからんけど、このコースは想像以上にムズい。

試訳

エスミー: ええっ、エドワード!もうレースしたいってこと?

エスミー: 思ってたよりムズいコースだし、ウチのほうがちゃんと走れるかどうか。

ローカライズってこんなに主語を抜くことが多いんだっけ? この現行訳だと準備できているかどうか分からない主体がエスミーなのかエドワードなのか不明瞭になっていませんか。

エスミーでスタイルドリフト

原文

Edward: Not really, I've been too busy showing Esmee how to style drift.

現行訳

エドワード: どうだろうね、エスミースタイルドリフトを魅せるのに忙しすぎて。

試訳

エドワード: いや、そうでもねえ。エスミースタイルドリフトを魅せるのに忙しかったからな。

「魅せる」はいいので踏襲しましたが、エスミー「に」、あるいはエスミー「へ」ではないでしょうか。本作はこの手の助詞のミスが多いように感じます。

半分の努力でイケるなら、すごいだろうさ!

原文

Ibba: Edward, this event is a huge opportunity... If you don't put the effort in, then it'll go to waste.

Ibba: I don't have half your aptitude, but I've worked so hard to get this far...

Ibba: If you'd put in even half that effort, you could be amazing!

Edward: I don't care! I've said the whole time that I came here to enjoy myself...

Edward: I get that you worked hard, but you did that because you wanted to, that was your dream.

Edward: I don't want the same things as you, Ibba... I'm done doing things your way.

現行訳

イバ: エドワード、このイベントはビッグチャンスなんだぞ。努力しないと、ムダになる。

イバ: 僕はキミの半分の才能もないけど、これまでずっと努力してきた...

イバ: 半分の努力でイケるなら、すごいだろうさ!

エドワード: いいさ!オレ自身を楽しむためにここに来たってずっと言ってたし...

エドワード: あんたは一生懸命がんばったと思うけど、あんたがやりたかったからで、それに夢だったからだろ。

エドワード: お前と同じだなんて思うな、イバ ...あんたのやり方はもううんざりだ。

試訳

イバ: エドワード、このイベントは大きなチャンスなんだ…努力しなきゃ台無しになっちまうんだぞ。

イバ: 僕は君の半分の才能もないけど、これまでずっと努力してきた…

イバ: 僕の半分でも努力すれば、素晴らしいレーサーになれるんだよ!

エドワード: 知らねーよ!オレはずっと言ってただろ、自分が楽しむためにここに来たんだって…

エドワード: お前様が一生懸命にやってきたのは認めるけどさ、それはお前のやりたいことだったからだ。お前の夢だったからだ。

エドワード: オレはそういうのはやりたくねえよ、イバ…お前のやり方はもうやめだ。

説教を繰り返していたイバとの不和が爆発するクライマックスシーン。よりにもよってここで翻訳がひどく混乱し、何を言ってるか分からなくなってしまうのは残念でなりません。

"If you'd put in even half that effort, you could be amazing!" 「半分の努力でイケるなら、すごいだろうさ!」の不自然さは、思うにここも主語の欠如ではないでしょうか。

「僕の半分の努力でイケるなら、君はすごくなれるだろうさ!」と補うだけで途端に「まだ読める」文章になります。和訳だからってIやYouを抜けばいいわけじゃないというか、抜くならそれなりの文章構造を用意すべきということかもしれません。

「オレ自身を楽しむ」というのも違和感があります。この場合の助詞は「で」か「が」あたりじゃないでしょうか。

3. レース

  • 前編: エドワードはエスミーとマッチレースを行う。

  • 後編: ヴィヴはエドワードに無理強いの雰囲気があったかもしれないと謝罪する。

負担がデカいほうがいい

原文

Esmee: Are you alright? That got pretty heated back there...

Edward: It needed to be said...

Edward: Honestly, I feel loads better with that off my chest.

現行訳

エスミー: 大丈夫?かなり熱かったっぽいけど...

エドワード: 言わないとだったんだ...

エドワード: 正直、負担がデカいほうがいい。

試訳

エスミー: エドワード、いいの?だいぶ熱くなってたけど…

エドワード: 言わなきゃいけなかったことさ…

エドワード: ホント、胸のつかえが取れてせいせいした気分だぜ。

ここは文脈上違和感があって調べた結果、意味が反転していると解釈しました。誤訳のポイントは "I feel loads better" で、ここの "loads" は負荷のことではなくイギリス英語のスラングです。大きいこと、多いことを表す "lots of" とほぼ同義と読んでよいようです(開発のLevel 91 EntertainmentはUKのメーカー)。

"get off one's chest" は胸のつかえが取れる意味のイディオムですから、エドワードの台詞は「胸のつかえが取れて、気分がとてもいい」といった意味に取れます。

学べることはたくさん学んだろうし

原文

Edward: I think I've learned as much doing my own thing anyway, and--

現行訳

エドワード: オレが学べることはたくさん学んだろうし、それに―

試訳

エドワード: それで、とにかく、好きにやっても同じくらいにたくさん学べることがあったって思うし、それに――

耐久イベントをサボっている間にスタイルドリフトで遊んでいたことを、しかし必要だったと説くエドワードの台詞。単語を逐一訳すべきとは思いませんが、サボってる間に何をどう学んだというニュアンスが足りないような気もします。

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