エイダ編 Stage4 サンセットシー・サーキット

1. タイムアタック

  • 前編: エイダは一旦ヴィヴと別れ、耐久レースの練習にタイムアタックを始める。

  • 後編: リクがジェイと別れてぶらぶらしている。

レーサーはコミュニティでは大きな存在じゃない

原文

Viv: I talked to one of the other drivers, doesn't sound like the racers here are big on community...

Viv: Seems like this track is going to be more of a solo event.

Viv: Really?! I did okay at the last track, but I'd still like some guidance.

現行訳

ヴィヴ: 他のドライバーと話したんだけど、ここのレーサーはコミュニティでは大きな存在じゃないようね...

ヴィヴ: このコースは、もっとソロイベントになりそう。

エイダ: マジで?!最後のコースなら大丈夫だったけど、まだ不安だし、指導があれば嬉しいな。。

試訳

ヴィヴ: 他のドライバーと話してきたんだけど、ここのレーサーたちはコミュニティ活動に関心がないみたいね。

ヴィヴ: 今まで以上にソロイベントになりそう。

エイダ: 本当に!?前回まではまだよかったけど、やっぱりガイドは欲しいよ。

ステージ開始一発目の会話から既に怪しい。英訳の妥当性を論じる前に、日本語として「当地のレーサーコミュニティの中で、レーサーは大きな存在ではない」という状況は矛盾を感じさせます。

そして "doesn't sound like the racers here are big on community" の "big on ~" は「~が好き」「~に関心がある」の慣用句で(私は調べるまで知りませんでした)、少なくともこの文脈では「~の中で大きい」にはなり得ないように思います。

きれいに回る

原文

Viv: The main event here is an Endurance Race and it's all about consistency...

Viv: Just go out there and focus on making your laps as clean as possible.

現行訳

ヴィヴ: ここでの主なイベントは耐久レースで、すべて集中力に関わるものよ

ヴィヴ: できるだけきれいに回ることに集中することね。

試訳

ヴィヴ: ここのメインイベントは耐久レース。安定性がすべてといっても過言ではないわ。

ヴィヴ: とにかく、できるだけクリーンなラップを刻むよう集中してね。

大まかな主旨は伝わるのですが、"consistency" 一貫性・安定性を集中力と訳すのは、もしかしたら concentration の見間違いかという気もします。

また、"laps as clean" はレース用語の clean lap でしょうから(「クリーンなラップ」などの表現は日本の記事にもたまに出てくる)、カタカナのほうが伝わりやすいと考えます。

ここでのVivは、耐久レースは一区間での速さよりも全体で見て遅い走りの混じらない安定性が求められること、そのためにはミスのないクリーンな走りが求められることを諭しています。

2. 決闘

  • 前編: エイダはリクにレースをせがまれる。

  • 後編: エイダはリクからシケインでの急旋回のコツを聞き出す。

ちょっとした楽しみはあるのかい?

原文

Riku: Doing the same track every day was starting to get a bit stale.

Riku: The drivers around here seem a bit boring... Nobody wants to race.

Riku: How about you though, Ada? You up for a bit of fun?

Ada: Erm... I'm not sure... I haven't really figured this track out yet.

Riku: Oh, c'mon! Pleeeease? It's just for fun, and I'm so bored!

Ada: Alright! Alright... I guess one race wouldn't hurt.

現行訳

リク: 毎日同じコースを走るのが飽きちゃってね。

リク: この辺りのドライバーは少し退屈そうだし...誰もレースしないよ。

リク: エイダは?ちょっとした楽しみはあるのかい?

エイダ: えーと...どうだろ...このコースもまだよくわからなくて。

リク: おいおい!なーんなんだよ?ただ楽しめばいいんだよ、ほんとつまんないな!

エイダ: わかった!わかった...一回レースやるだけ。

試訳

リク: 毎日同じコースを走るのも、少し飽きてきたからな。

リク: だが、ここらのドライバーも見た感じ退屈そうだ…誰もレースをしたがらないんだよ。

リク: エイダ、君はどうだ?ちょっと楽しまないか?

エイダ: えーと…どうしようかな…まだコースを掴めてないんだ。

リク: おいおいおいおい、頼むぜ…ただの遊びだ、それだけでいいんだよ。俺は退屈してるんだ!

エイダ: わかった!わかったよ…レース一回くらいなら、まあいいか。

リクの再登場。シティ・スカイリンク(2面)と同様に、リクに口語的に喋らせようとするアレンジと、こういう時に限って顔を出す逐語的な翻訳の相性がどうやら悪いらしい印象があります。別の言い方をすると、単語単語のレベルではそこそこ合っていても、「リクがエイダをレースに誘っている」という大まかな流れとしては頭に入ってこない不自然さが現行訳にはあります。

あと「ほんとつまんないな!」は意訳が過ぎるというか、いくらリクが自由な性格でも原文よりも些か身勝手すぎる印象を与えるように思います。

ギアチェン中

原文

Riku: Not bad! Not bad at all... You seemed totally different out there! You've really grown as a driver.

Ada: I feel like I've still got a lot to learn... Like how were you getting your car to change direction so quickly through the chicanes?

Riku: Oh, that? Well, my brakes are set up so that they don't slow the car down very much, but they do destabilise it.

Riku: A quick tap when changing drift direction lets me swing the car around much faster.

Ada: Not sure that'll work with my car, it would kill my speed. It's similar to how reducing throttle allows me to drift harder though...

Ada: Interesting. Perhaps, I could achieve the same thing by momentarily lifting off the throttle during a transition?

Riku: The effect might not be as strong, but it sounds like it could work.

Ada: Yeah, thanks... I need to try that out...

現行訳

リク: いいじゃん!ぜんっぜん悪くないね...これまでとぜんぜん違ってたよ!本当にドライバーとして成長したね。

エイダ: まだたくさん学ばないといけない気がする...どうやってシケインから車を方向転換させるの?

リク: ああ、それ?まあ、僕のブレーキは車が遅くなりすぎないように設定されているけど、不安定になるんだ。

リク: ドリフト方向を変えるときに素早くタップすると、もっと速く車をスイングさせられる。

エイダ: それが私の車でうまくいくか分からないし、遅くなっちゃうかも。スロットルを下げるとドリフトが難しくなるのと似ているけど...

エイダ: それなら、ギアチェン中にスロットルを一瞬絞れば、同じことがおこるのかな?

リク: 効果はそこまで強くなさそうだけど、うまくいきそうだね。

エイダ: ありがとう。試してみるわね。

試訳

リク: 悪くない!ぜんぜん悪くない…特にコースの上ではまるで別人のようだ!本当にドライバーとして成長したんだな。

エイダ: まだまだ学ぶことは多いよ…リクはシケインで、どうやって素早く方向転換してるの?

リク: ああ、それ?いいか、俺のブレーキは車を遅くしすぎないセッティングだが、それでも姿勢を不安定にする。

リク: ドリフトの向きを変える時に、ブレーキを素早くタップするように踏んでやれば、車はより速くスイングするのさ。

エイダ: 私の車だとうまくいくかは分かんないね。スピードを殺してしまうかもしれない。アクセルを弱めるとドリフトが強まるのに似てるみたいだけど…

エイダ: でも、良いこと聞いちゃった。姿勢を変える時にアクセルを一瞬だけ離しても、近いことになるかな?

リク: ブレーキほど効果は強くなさそうだが、出来そうではあるな。

エイダ: ありがと。これは試してみなくちゃ。

ちょっと引用が長いのですが、一連の流れなので……。

試訳では細かい日本語の調整をしていますが、特に「ドリフトが難しくなる」と「ギアチェン」は修正不可避だと思っています。

「ドリフトが難しくなる」については、エイダ車はブレーキングドリフトでもまずスピンを起こさない性能をしているので、よりオーバーステアが「強まる」ほうの "harder" ではないかと考えます。

「ギアチェン」はもっと単純な話、このゲームにシフトチェンジは無いです。transitionはマシンの姿勢移行を指す言葉と考えてよいのではないでしょうか。

3. 耐久性

  • 前編: エイダはリクからのスタイルドリフトの誘いを断り、耐久チャレンジに参加する。

  • 後編: 耐久チャレンジをクリアしたエイダはヴィヴとイバから称賛を受ける。

耐久チャレンジをクリアするのは別に凄い事じゃない

原文

Viv: Finishing the Endurance Challenge is no mean feat, and you did it all on your own.

Ibba: Totally! Your drift transitions in the chicanes looked so clean...

Ibba: That's something I've only just learned how to do myself.

Ada: I got the idea from the way Riku tackled them, but I adapted the technique to better suit my car...

Ada: I guess having someone to follow isn't as important as I thought.

Viv: Yeah, if you don't have confidence in your own skills first, then you'll always be second guessing yourself.

現行訳

ヴィヴ: 耐久チャレンジをクリアするのは別に凄い事じゃないけど、達成できたじゃない。

イバ: ほんとだよ!シケインのドリフト、すごくきれいだった...

イバ: 勉強になったしこれで、僕もできるぞ。

エイダ: リクのやり方からヒントを得たけど、私は自分の車にもっと合ったテクニックでいく。

エイダ: 誰かにフォローしてもらうことは、そんなに重要じゃないのね。

ヴィヴ: ええ、最初に自分のスキルに自信がない時は、常に自分で考えないと。

試訳

ヴィヴ: 耐久チャレンジのクリアは並大抵のことじゃないわ。あなたはそれを自分の力でやり遂げたの。

イバ: その通りだよ!シケインでのドリフトも、すごくクリーンに姿勢を変えていたね…

イバ: あれは僕も、最近身につけたばかりのテクだよ。

エイダ: やり方のヒントはリクから貰ったけど、私の車に合うよう自分でアレンジしたんだ。

エイダ: 今までは、誰かを真似することが一番大事だと思ってたけど…それは一番じゃないのかも。

ヴィヴ: ええ。まず自分自身のスキルに自信を持てなかったら、自分を疑ってばかりになっちゃうものね。

見出しの通り、耐久チャレンジ達成を褒めてくれるはずのヴィヴが急に辛辣なことを言ってしまっています。続くイバの茶々も怪しいですが、特にラスト3行のフォローと自信のくだりは、エイダ編のテーマに関わる部分であれば、会話としてしっかり繋げるならばこうなるべきではないかと、機械と辞書頼りの素人としては思います。

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