ヴィヴ編 Stage3 スノーマウンテン・スプリント

1. タイムアタック

  • 前編: ヴィヴの前に親友でありライバルのザラが現れる。

  • 後編: サミラはヴィヴにスタイルドリフトを提案する。

今年はザラに要注意だ

原文

Zhara: I hope you haven't been slacking off? I can't have my main competition this year be that numbskull Bautista.

Viv: Don't worry, I've been practicing day and night.

Viv: And I'll do my best to keep you entertained...

Ibba: You better watch out this year Zhara. Viv was so fast, that even Bautista couldn't believe it.

現行訳

ザーラ: ゆるんでないでしょうね?今年のメインイベントは、マヌケなバウティスタに勝たせられないからね。

ヴィヴ: 大丈夫よ、朝から晩まで練習してきたから。

ヴィヴ: 楽しんでくれるようベストを尽くすから...

イバ: 今年はザラに要注意だ。 ヴィヴはすごく速かったから、バウティスタでさえ信じられないよ。

試訳

ザーラ: ナマってないでしょうね? アタシの今年のライバルがバウティスタのバカになるなんて、ありえないんだから。

ヴィヴ: 大丈夫、練習してきてる。昼夜を問わずにね。

ヴィヴ: ザラを退屈させないよう、ベストを尽くすつもり...

イバ: 今年は気をつけたほうがいいぜ、ザラ。あのバウティスタが信じられなかったほど、ヴィヴは速くなってる。

イバの口を挟む相手がヴィヴからザラに変わってしまう誤訳によって、話の流れが滞っています。

おぉ、君は今年その記録を更新できそうなの?

原文

Ibba: The way she's going, the track record at Mount Kirino is gonna get destroyed.

Zhara: Oh, you think you can break the record this year?

Viv: That's the goal... I still have a lot of work to do getting there though.

現行訳

イバ: 彼女の走る道では、キリノ山Rの記録は無意味だね。

ザーラ: おぉ、君は今年その記録を更新できそうなの?

ヴィヴ: それが目標なの...そのためには、やるべきことがたくさんある。

試訳

イバ: この調子なら、キリノ山のコースレコードだってぶち抜けるだろうな。

ザーラ: へぇ、ヴィヴ。今年はレコードを破る気でいるの?

ヴィヴ: ええ、目標にしてる...その前にやるべきことが沢山あるけど。

呼びかけを人名にするか代名詞にするかは可読性や会話の自然さなどで変わると思いますが、ザーラという女性の言葉づかいで「君」は校正ミスでしょう。現行訳でも他のシーンでは「アンタ」が採用されています。

コースをマスターした上にカッコよくもしちゃうわけ?!

原文

Ibba: Oh, Viv! Are you heading out again?

Viv: Yeah, I'm going to Drift with Viv.

Ibba: Wow, you've mastered the track and found time to chill already?!

現行訳

イバ: あ、ヴィヴ!また出かけるのかい?

ヴィヴ: ええ、サミラとドリフトするの。

イバ: うわあ、コースをマスターした上にカッコよくもしちゃうわけ?!

試訳

イバ: ああ、ヴィヴ! また出るの?

ヴィヴ: ええ、サミラとドリフトにね。

イバ: おお...もうコースをマスターして、のんびりとチルな時間なわけだ!?

単体ではそれでもいいかと思う訳ですが、場所と時系列を共有する他のシナリオ(特にエドワード編、イバ編)を読めば、イバがスタイルドリフト・ルールのことをレースの役に立たないサボり行為だと思っていることが分かります。

ここではスタイルドリフトが練習の対極にあるというイバの価値観を表す必要があるので、「カッコよく」は少しズレているわけです。

2. スタイル

  • 前編: サミラはヴィヴにスタイルドリフトを提案する。(※前レース後編と同じだが、ここから始めてもバグで表示されない)

  • 後編: ヴィヴはサミラにテクニックを確認する。

特になし。

3. レース

  • 前編: ザラはヴィヴにレースを挑む。あまり乗り気でないヴィヴを周囲が焚きつけてしまう。

  • 後編: ヴィヴとザラはサマーグランプリでの再戦に熱意を燃やす。

今はそうでもないけど、もう一回チャレンジしたいんじゃないの...

原文

Samira: I hope that was helpful?

Viv: It was! You were right about smaller angles. It's easy to over drift and lose speed.

Viv: Being precise enough is challenging, but I'll get it.

Samira: Don't look now, but I think you're about to have another challenge on your plate...

Zhara: Alright, Viv, I've been waiting all day to see what you've got... Let's Race!

現行訳

サミラ: 役に立った?

ヴィヴ: ええ!小さな角度についてはね。ドリフトしすぎると、簡単に速度は落ちるし。

ヴィヴ: 正確に調整するのは難しいけど、何とか。

サミラ: 今はそうでもないけど、もう一回チャレンジしたいんじゃないの...

ザラ: いいわ、ヴィヴ、アンタの努力はずっと見てきたし...レースしましょ!

試訳

サミラ: さて、お役に立てたならいいけれど?

ヴィヴ: 役に立ったよ! 角度を小さくしろって話も納得できた。オーバードリフトは失速しやすいからね。

ヴィヴ: もっと精度を上げるのが課題だけど、何とかやってみる。

サミラ: ちょっと待って。あなたには、他にやるべき課題があるみたいね...

ザラ: そうだよヴィヴ、あんたの実力を一日中観察させてもらった...さあ、レースしようか!

ここはサミラの台詞が問題で、ザラ登場への前振りの意味が消滅した結果、会話が無意味に空転しています。

"don't look now" は直訳では「今は見るな」、イディオムとしては「(見られているから)あっちを見るな、気付かれないようにしろ」のようなニュアンスの警告に近い言葉で、ある意味 "watch out" と言葉は反対ながらも類義語のようでした。

"to have another challenge on your plate" の後ろの "on your plate" も「やるべきこと」を意味するので、訳は「もう一回チャレンジしたい」よりも「他にやるべき課題がある」のほうが比較的適切だと考えます。

タダほど楽しいものはない

原文

Viv: Here? This is your home track, Zhara... I'm not sure I'm ready for that.

Samira: Oh, come on, Viv! You're selling yourself short. It's just a bit of fun anyway, what's the harm?

Viv: You'll do anything for some free entertainment, won't you?

Samira: I can't resist... It's always explosive when you two race.

現行訳

ヴィヴ: ここで?ザラの本拠地コースでしょ ...準備ができているかどうか。

サミラ: もう、なによ、ヴィヴ!もっと売り込んでよ。ただのちょっとしたお楽しみなのに、何がイヤなの?

ヴィヴ: タダほど楽しいものはない、でしょ?

サミラ: まあ、そうね...2人のレースっていっつも爆発しそうで。

試訳

ヴィヴ: ここで? ザラのホームコースでしょ...満足な勝負にはならないかも。

サミラ: もう、どうしたのヴィヴ! 弱気すぎよ。ただのお楽しみの、何が問題なの?

ヴィヴ: サミラはむしろ、タダでお楽しみを見るために何でもするタイプでしょう?

サミラ: だって...あなたたち2人のレースって、いつも爆発的で、たまらないんだもの。

ヴィヴとザラとのレースが成立してほしい……と煽るサミラですが、成句のもじりをねじ込むには、もう少し読みやすさに欠けるように思います。

せめて例えば「あなたは『タダほど楽しいものはない』って性格でしょ?」くらいになっていたら、これがサミラへの若干の不満まじりの揶揄であることが明確になっていたのではないでしょうか。

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