時の異邦人シリーズ

間ヶ岾のことを考えていたら『時の異邦人』の一連の時系列がよく分からなくなってきたので、簡単にまとめることにした回。

基本的なこと

主に学園地下のゲート付近で、転校生を含む5名の生徒が霧の嵐という突発的ゲートに巻き込まれ、およそ10年前の世界で子供時代の生徒と出会うという流れは(最後の『Reverse』を除き)共通している。

すべてコミュイベ(コミュニケーションイベント)として実装され、子供時代の生徒たちと交流できるのが見どころだった。

実装順リスト

日付は時間停止の魔法を考慮しない、現実ベースのもの。

  • 2015年5月

    • 時の異邦人: 鳴子、つかさ、ゆかり、エレンがボロ屋敷の倒壊に居合わせる。

  • 2015年12月

    • 時の異邦人 Christmas: 紗妃、心、結希、葵が風飛市連続児童誘拐事件の現場に居合わせる。

  • 2016年6月

    • 時の異邦人 Scouts: 虎千代、薫子、春乃、シャルロットがガールスカウトの現場で共生派の小学校教師(福富)の情報を得る。

  • 2017年3月

    • 時の異邦人 Blossoms: メアリー、沙那、風子、純が不審人物(実崎真澄)の情報を得る。

  • 2017年10月

    • 時の異邦人 Halloween: あやせ、怜、花梨、ましろが風飛市連続児童誘拐事件の協力者である実崎真澄を発見する。

  • 2018年7月

    • 時の異邦人 OCEAN: 龍季、イヴ、律、智花が十川海岸の洞窟で魔物を退治する。

  • 2019年7月

    • 時の異邦人 Festa: 聖奈、エミリア、みちる、萌木が祭り会場に現れると予言された魔物を退治する。

  • 2020年1月

    • 時の異邦人 NewYear: 姫、刀子、もも、千佳は迷子の自由を捜索する。

  • 2020年3月

    • 時の異邦人 Reverse: ありす、もも、ミナ、恋は未来の自分たちの酒盛りに巻き込まれる。

作中時間を考える

便宜上、転移元と転移先の季節は同じと仮定する。

年代
起きたこと

2003年(鳴子曰く12年前)

5月: 『時の異邦人』

2004年(第7次侵攻の10年前)

1月: 『NewYear』?

3月: 『Blossoms』

6月: 『Scouts』?

7月: 『OCEAN』?

7月: 『Festa』? 10月: 『Halloween』

12月: 『Christmas』 ※?付きのイベントは「10年ほど前」扱い

2005年(第7次侵攻の9年前)

第6次侵攻

2009年(第7次侵攻の5年前)

房総半島襲撃

2014年

第7次侵攻

表世界の2017年(第7次侵攻の6年後)

3月: 『Reverse』

ざっくり上から順に考えてみよう。

『時の異邦人』: 第7次侵攻の翌年から12年前

『時の異邦人』では鳴子が子供の自分に歳を尋ね、「6歳」と言われたことから霧の嵐の転移先を12年前と断定しているが、ここには少し解釈の余地がある。

イベント開催時期は5月、鳴子の誕生日は8月なので、まだ誕生日を迎えていない17歳の鳴子からしたら、6歳と言われれば本来 11年前 と考えるべき事態のように思う。

これについては幾つか説を考えることができ、

  1. 鳴子は暦のループに気付き、その考察を進めていた時期だった。「2014プラス1年」に居る自覚があったから2003年を「12年前」と表現した説

  2. 実は転移先は5月ではなく8月以降説

  3. 初回の誕生日エピソードの通り、鳴子の実際の誕生日は4月だった説

本サイトでは『時の異邦人』は開催当時の暦と同様に5月、かつ鳴子の歳が6歳の時ということにして(1)の2003年説を採用する。

連続児童誘拐事件: 第7次侵攻から10年前

『Christmas』『Halloween』『Blossoms』の3つについては連続児童誘拐事件の発生中なので、同年にまとめるのが自然だろう。

風紀委員たちは2014+1年(実時間で2015年)の時期に、連続児童誘拐事件を「10年前」と表現している。これは第7次侵攻から見て10年前と考えてよいと思う。これは当時の風紀委員が時間停止魔法について知っている情報や、何より『Halloween』に第6次侵攻の被害に遭う前のましろが登場していることから推測できる。

誘拐事件以外: たぶん10年くらい前

上記以外、『NewYear』『Scouts』『OCEAN』『Festa』の時期には、確定的なものは無かったように思う(『Scouts』で「およそ10年ほど前」と言われてはいる)。「10年ほど前」としてどこに挟んでもいい気もするが、『OCEAN』『Festa』のアイダ・リーヴス絡みで何かトリックを見つけたらまた改めて考えたいと思う。

あとは単純にキャラの年齢の問題もあり、『OCEAN』を上記の児童誘拐事件と同じ年に置くと龍季7歳、イヴ4歳とかになってしまうので、これだけは支障なければ2年くらい足してイヴを6歳くらいにしてあげてもいいんじゃないか……。

Reverse: 単に表世界の現在

Reverseのタイトル通り、これまでの「現在の表世界の現在から過去の裏世界へ行く」という構図がひっくり返り、「裏世界の未来から表世界の現在へ来る」に変わった回。時系列だけ考える時には特に悩むところはない。

裏世界と時間干渉について、少しだけ考えてみる

しっかり考え出すとキリがないので、『時の異邦人』に関係するところだけをベースに、ちょっとずつやってみよう。

干渉の有無

まず、時の異邦人シリーズそれぞれの世界が同じ裏世界かどうかという点から少し思うところがある。まあ同じ裏世界(TESTAMENTの裏世界)でも大勢に影響はないが……。

たとえば以下のように分類してみたとして、

種別
イベント
備考

表世界の影響を受けている裏世界

『Scouts』 『Halloween』 『Christmas』

間ヶ岾、宍戸博士、虎千代、薫子に表世界学園生の記憶がある

表世界の影響は確認できないが、アイダ・リーヴスの関与の可能性がある裏世界

『OCEAN』 『Festa』 (『Halloween』にもアイダの名前は出てくる)

アイダ・リーヴスが表世界を意識している可能性がある

表世界の影響を確認できず、どこか未確定の裏世界

『時の異邦人』 『Blossoms』

表世界との差異がある

表世界?

『NewYear』

霧の嵐に巻かれなかった自由が騒動の顛末を知っている

表世界

『Reverse』

ただの酒盛り

間ヶ岾には『Christmas』で学園生を直接目撃した記憶や、『Halloween』で実崎の行動を阻止された記憶がある。裏世界の結希(宍戸博士)は『Christmas』で結希と転校生に会ったことを覚えていた。また裏世界の聖奈によれば、虎千代と薫子も『Scouts』で会った学園生たちと再会できると信じていたようなので、この3つのイベントには学園地下ゲート、TESTAMENTの裏世界と連続性があると考えてよいと思う。

学園生の行動に対する結果の確認できない『OCEAN』『Festa』『時の異邦人』『Blossoms』については、厳密にいえば、どの裏世界か確定していないように思う(たとえば『Festa』の萌木と『花散り7次』『運命改変』の萌木は同一人物だっけ? という問題。追々読み返してみよう)。

『NewYear』に限っては特に表裏の世界の差異がない上にオチが自由から語られるので、例外的に表世界の出来事としても通るように思うが、これは読み込みが足りないだけかもしれない。

干渉の中身

時の異邦人シリーズは専ら、裏世界から表世界に何かを持ち帰る話だが、その中で表世界から裏世界へと及ぼした影響をもう少し追ってみよう。

『Scouts』では、春乃は昔の自分に房総半島襲撃事件を避けるよう強く言い含めていた。それでも瑠璃川姉妹の未来は変わらず、表世界の干渉で残ったのは虎千代と薫子が未来の学園生に会ったという記憶(と、おそらくシャルロットのアンチ共生派布教)のほうだった。

『Halloween』での出来事は表世界にとっては実崎の逮捕に繋がる大きな収穫だったが、未来の裏世界への影響としては前述の間ヶ岾の記憶に残ったくらいだろうか。

『Christmas』では結希が昔の自分にデータを渡しており、12年後の宍戸博士の役に立ったと思われる。双美心の誘拐阻止は、共生派であった彼女の両親に彼女の覚醒が認められなかったことによって、結局間ヶ岾が心を保護したというかたちで(おそらく「正史」に沿うように)決着している。

干渉の仮説

追々『風飛の丘に花は散り』シリーズや裏世界探索回なども含めて俯瞰したいので、ここでは「表世界から裏世界(学園地下から行ける12年後世界)への干渉はどのように処理されるのか」についての取っ掛かりだけにとどめておく。

説1. 表世界からの過去干渉をすべて既に起こったものとして動いている(首尾一貫原則)

『アナザーワールド』の時点では、転校生たちは12年後の学園生を見ていないが、裏世界の宍戸博士には22年前に結希たちに会った記憶がすでにある、とするもの。

過去改変が織り込み済みの、決定論的な未来の考え方で、本編中にも「卯衣と魔力充填装置を完成させ、表世界の過去に向けて送り出すためには、宍戸博士はいずれ必ず転校生を借り受けることになると確信している」というくだりがある(第22話-9)。

説2. 表世界からの過去干渉ごとに変動している(タイムラインの変動)

『アナザーワールド』の時点では、転校生たちは12年後の学園生を見ていないし、裏世界の宍戸博士も22年前に結希たちに会っていなかったのが、霧の嵐の発生で『会っていたことになった世界』に改変されたとするもの。

ちょっと強引に思われるかもしれないが、宍戸博士が結希たちに会ったことが判明するのは『Christmas』の後なので、その点だけを見れば通ると言えなくもない。

春乃が房総半島襲撃に居合わせるのを阻止できていなかったりする点は分が悪いが、心の誘拐(保護)のように歴史の修正力的なものが働いたと解釈できるかもしれない。あるいは、既に観測された事象は改変できないとか(それは人間原理すぎんか?)。


個人的には説1、あるいは時と場合によってアドリブ的に説2の動きをすることもあるくらいに思っているが、前述のようにこの辺はまた、『グリモアA』に触れた時にでも続きをしましょう。

最終更新