モンスターという言葉
兎ノ助「1年くらい前は頻繁に聞いてた言葉があってさ。モンスターってんだけど。」 兎ノ助「科研の科学者が言ってなかったっけ?」 結希「…………」 結希「そうね。」
(兎ノ助、あのね。2015年6月12日: モンスター)
人を害さない魔物、人を害する以外の行動原理を持つ魔物としての「モンスター」の用法はおそらくこれが初出で、特に4日後の6月16日に初めて訪れる「相馬レナの誕生日」の前段として機能している。これらストーリーによって、レナが本編開始の2ヶ月前、2014年の6月頃に発見されたことがわかり、「レナはは」が狼ではなく魔物の変種であったことが明かされる。
このあと、数ヶ月後の浦白七撫の転入とイベント「兎ノ助失踪」を経て「モンスター」という用語は更に整備され、都市伝説として一部で囁かれていること、結希や天のような本職には半ば常識であること、その概念を知らない一般生徒も普通に居ることなどが描かれてゆく。
読み返してみると、ボイス無しのメインストーリーや兎ノ助あのねでは注意深くモンスターという単語を使わないようにしているのがわかる。これより前だと自由がモンスターをハントするゲームの話をする回、望がオンラインRPGのギミックを説明する回、エミリアが欧州の妖怪の話をする回くらいにしか出てこない。あるいは後から改訂があったのかもしれない。
おもしろいのは、序盤のカードストーリーにはそこそこの量のモンスターが残留していることだ。収録からリリースまでのタイムラグが長く、ボイスのために改訂が困難というところが関係しているように思う。
もも「うー…先輩! 歩くの遅いですよぅ!」 もも「早く街からモンスターを追い出しましょうよ!」
([任務]桃世 もも)
メアリー「早くモンスターを狩りたくて、うずうずしてるからな!」
([暴れ屋]メアリー)
何が言いたいかといえば、「魔物」「ミスティック」「モンスター」の使い分けは結構土壇場で決まったのではないか……ということで、特に初期のボイス台本の時点では設定が定まっていなかったと推測している。メインライターの栗原氏の参加は案外あとの方だそうで、参加後に大掛かりな設定の工事をやっていたらしい事とも矛盾はしないだろう。
結希あたりは音声でも魔物そのままの意味でモンスターと言うことは皆無なので、コントロールの跡はみられるが、とはいえ上記のメアリーのように「モンスター」のことを知っていそうなキャラが「霧の魔物=モンスター」の意味で使っていることもあるから、少なくとも最初の最初からしっかりと決めていたわけではないのだろう。もし決めていたなら「魔物=モンスター」と思い込んでかかるような台詞をメインストーリー側にも散りばめ、ギミック化する方が自然だ。
とした上で、もしも後付けだとしても、キャラクターの立場や時期によって知識の相のようなものが見えるグリモアらしい落としどころになっていると思う。
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